著者TSUBOが介護職に就き3年。
介護グループ組織の大きな欠陥点に、ようやく気がついてきました。
それは、
『管理者が次々と辞めていく問題』です。
(文末に、この問題におけるTSUBOなりの改善案をまとめています。
よろしければ、ご一読して頂けると嬉しいです。)
うちのグループではどの施設も、管理者が次々と入れ替わっているのが現状です。
長くて3年。ほとんどが1年以内に辞められていくのを目の当たりにしております。
そして、
介護施設の管理者は、非常に重要なポジションです!
プロ野球チームの監督に匹敵するくらい、重要だと思います。
私のような一介護士としては、管理者の器量が、働きやすさに大きく影響するからです。
管理者とスタッフ間の信頼関係が良好であれば、「連絡・相談・対応」等の流れも円滑にすすみ、より仕事をしやすくなると思うのです。
それくらいに重要である管理者が、次々と離職してしまう…
他の介護グループではどうなのでしょうか?
はっきりとは知らないのですが、おそらく同様の問題を抱えている施設も少なくないのではないかと、推測します。
なぜなのか?
TSUBOが感じている、主な原因・問題点を挙げてみます。
⑴責任の重さに対する待遇の低さ
⑵対応すべきことが多すぎる
⑶孤独に陥りやすい環境
⑷管理者の育成体制がない
順に説明していきます。
⑴責任の重さに対する待遇の低さ について
介護施設の管理者を、他の職種での役職に例えると、
「部長」や「所長」、「店長」という立場にあてはまります。
業績や運営マネジメントなど、重大な責任を背負う立場であり、
その責務に見合う報酬は高く、年収800~1000万レベルが一般的でしょうか。
簡単にはたどり着けない、企業マンが憧れる気高い地位でしょう。
ところが介護業界の管理者の年収は、うちのグループだとせいぜい350~400万レベルなのです。
その責務にはとても見合っていない、待遇の低さは明らかで、
「大抵の管理者が早めに見切りをつけ、離職していく」そんな現状があるのです。
⑵対応すべきことが多すぎる
例として、うちのデイサービスの管理者の仕事内容を挙げてみます。
「利用者・介護サービスの管理」
「職員のマネジメント・勤務管理」
「収支管理・運営管理」
「サービス担当者会議・グループ内の経営会議」
大まかですが、このような多岐に渡る業務全般をこなしています。
しかも、しょっちゅうイレギュラーな事態が発生しがちで、その対応に追われながらも、課せられている様々な業務をこなさなければなりません。
また、あらゆる方面の担当者と関わり、調整を行っています。
「施設長」「ケアマネージャー」「関係機関の担当者」「スタッフ」「利用者・ご家族」など、
これだけの多くの人間と信頼関係を築くためには、かなりのコミュケーション能力・調整力が求められます。
うちの管理者はとくに、利用者さん・ご家族からの連絡・相談を電話で受けることが頻繁にあるため、その都度、業務の手を止めなければならないし、休みの日でも電話対応しているという、心苦しい光景を目の当たりにしています。さらに定時後にも、一人残って処理業務を行っていることもちょくちょくあります。
うちの場合は管理者とスタッフの信頼関係は良好で、スタッフが請け負える仕事は、可能な限り皆で分担するようにしてはおりますが。
私の思うところは、
これだけ多様な業務を一人で負わせるのは無理があるのではないか?
せめて、「専任の補佐役を一人以上は配置すべき」
そんな意見をもっていますが、人手不足のうちのグループでは今は厳しいかと。
⑶孤独に陥りやすい環境
多くの責任を背負う管理者は立場上、誰にも伝えられず、一人で苦悩しやすい環境にあると思います。
経営者からの方針や考えを指示されている立場上、スタッフの不満や意見などに応えられなかったり、板ばさみの状態に陥ることがあるでしょう。
スタッフとの関係がうまくいかない場合や、スタッフ間の雰囲気が悪化した場合なども、うまく対応ができないことが続くと、自己非難の心境にも陥ったりするでしょう。
自分自身の不満や愚痴がたまってきても、誰にも打ち明けられず、独りで悩みを抱え込む。
こんな孤独感にさいなまれやすいのが管理者の現状。
多忙と孤独から次第にストレスが大きくなり、精神的苦痛が生まれる恐れもあるでしょう。
⑷管理者の育成体制がない
重要な役割を担う管理者を
「しっかりと育成する体制が必要」
というのが著者の考えです。
しかし、うちのグループの場合は、管理者に成る者の条件も全く定められておりません。
言わば、「誰がやっても良い」そんな現実があります。驚くことに。
そして、管理者をやりたがるものはほぼ皆無です。
管理者が辞めることになった場合の後任者選びは、まるで「ババを引かされる」くらいの、損な役回りの印象があります。
ここで、うちのデイサービスの最近の事例を挙げておきます。
昨年末に管理者が退職することになりました。私の入職時からの女性管理者で、約3年も頑張ってくれた方でした。
私にとっては一人前の介護士に育ててくれた、恩師と仰ぐ人です。
その方の場合は、次の目標のステージへ向けて旅立っていかれた、円満退社でしたが、
実はその後を引き継ぐ適任者がいなかったのです。
結果、スタッフのなかで最も適任だろうと選ばれたのが現在の管理者で、40歳女性の介護福祉士でした。
しかし、その女性はもともと前の施設で教育担当を任されていたのを「現場で働きたい」という思いが強く、うちのデイサービスに転職して来て1年足らずのスタッフだったのです。
「次の管理者を探してもらうまでのつなぎ条件」を約束として、何とか彼女を説得して引き受けてもらったのです。
無理を頼んで受けてもらったこともあり、スタッフ全員で彼女を支えようという想いで、今のところ職場は円滑に動いておりますが、彼女ひとりだけが、残業したり休日も出てきたりなど、無理をさせていることへの後ろめたさがあるのが現状なのです。
このように、うちのグループでは正直、行き当たりばったりの管理者選びになっているのが実態で、
管理者を育成していくための、道筋や体制も皆無なのです。
ここまでが、TSUBOが感じている
「管理者に関しての問題点」です。
最後に、冒頭で述べた
「TSUBOの考える改善案をお伝えします」
【改善案】
①管理者と補佐役を2人セットで配置する
・補佐役は、将来の管理者候補として育成する体制をつくる
スタッフの中から将来の管理者候補を選び、育成を兼ねて補佐役につける。
なお、他業種で管理職経験を持ち、マネジメント能力がある人材を募集するのも面白い。未経験者でも現場の応援も行うことで、介護業務も学ぶことが出来る。
補佐役は、必要な研修を受講するなどして、期間中にレベルアップを図ること。
そして、管理者の仕事をしっかりと学んでいくことができる。
・管理者は、業績アップのための業務に、より力を注ぐ
書類作成業務等を補佐役に任すことで、外部との調整業務への比重を増やせる。
とくに、利用者の獲得などの営業面に力を注ぐことが出来るので、業績改善に繋がる期待がもてる。
・管理者は、スタッフとの連携にも、より力を注ぐことができる
スタッフとのコミュニケーションやマネジメントに、より力を注ぎます。
また、補佐役とコンビで動いていることで、孤独感も軽減されるはずです。
・管理者は、外部主催の研修等を活用して、つねに自身のスキルアップを図らなければならない。
「管理者研修」という研修があります。
しかし、うちのグループでは管理者が受講したケースを聞いたことがない。
こういった研修を受けることを、施設は必須事項とするべきです。
管理者は非常に重要な役職だけに、
「絶えずスキルアップを目指す」ことが大切です。
②管理者の待遇を大幅に改善
多くのスタッフが目指す存在となるように、管理者の待遇を大幅にアップさせる。
年収600万レベルが、TSUBOが期待するラインです。
責任の重さに見合う対価があれば、人はより力を発揮できるものと、著者は思っております。
そして、
管理者が、
『大きなやりがいを持てる役職となる』
ことを強く望んでいます。
みなさんは、この案をいかが思いますでしょうか?
もしよろしければ、ご意見などのメッセージを頂ければ、大変嬉しいです。
著者は、いつの日かうちの施設に、この考えを提案してみようと抱いております。
コメント
介護業界の管理者の大変さについて調べていました。
記事に記載されている通り、介護事業所には管理者が必要ですが、業務の範囲や責任の重大さの割に給与面や働き方は厳しい状況にあると感じます。
場合によっては処遇改善手当がついているベテランの介護職員や看護職員などよりも低い給与になってしまっているケースなどもあるようです。
そのような状況で管理者が頑張っていてもなかなかどんな仕事をしているかどんな責任を負っているのか見えてこなかったりして疲れ果ててしまうのは気の毒ですよね。改善案としてあるように補佐役の人がいないときついですし、何より経営陣は管理者の存在の重要性を再認識して見合った待遇を用意するべきだと感じました。
コメント有難うございます。
管理者の大変さ、気の毒に感じていること同感です。
ベテラン職員さんよりも給与が低いケースもあるのですね。
教えて頂いて、有難うございます。
うちのデイは人員基準ギリギリで回っている感じなので、
管理者1名体制が固定化されている気がします。
僕のような一介護士の意見は、簡単に通らないと思いますが、
そのあたりの施設の実情などももっと勉強していきたいです。
みんなが働きやすい環境をつくっていきたいですね。
初めてコメントを戴いて、すごく嬉しかったです!