昨夜の広島カープ最終戦。野村祐輔投手の引退試合でした。
勝利が決まって最終戦のセレモニーで選手がグラウンドに集まる中で、
野村選手の両肩を菊池選手が後ろから揉みほぐすようにして、労いの想いをおくっていたのが印象的でした。こみ上げる想いを抑えている二人の表情にジーンときました。
その時二人は言葉をほとんど交わしていませんでした。
10年以上、良い時も苦しい時もずっと一緒に戦ってきた戦友。
深い想いが詰まっていることでしょう。
そしてその想いを伝えるのは言葉じゃなくて、
ボディタッチのみで、気持ちを伝え合っていたのです。
スポーツではよく、チームメイトと肩を叩き合ったり、ハイタッチしたりして、喜びを伝え合ったりする場面をみます。
体を触れ合うことでお互いの気持ちを伝え合っているのですね。
ここからは介護の世界に話を向けますね。
『ボディタッチ』というもの
「介護士にとってすごく大切なもの」と僕は思っています。
ご利用者さんと心が通じ合える。信頼関係・絆を深めてくれる。
言葉よりも断然大きなチカラを秘めているものと考えています。
体が触れ合うことで、そこには目に見えない温もりが生まれると感じます。
その温もりが心を癒してくれて、安心感や親近感につながっていく
そして『心が通じ合っていく』
きっと、そういうチカラがあると思うのです。
介護の現場では、意識していなくても自然に体の触れ合いは発生しますね。
歩行介助では、自然と体が触れ合っています。
もちろんそこにも、ボディタッチのプラス効果は生まれているでしょう。
でも僕の場合は、介助時以外においても、意識的にボディタッチを増やすようにしています。
例えば、
ポツンと一人座っているご利用者さんに声掛けして、肩や背中に優しく触れたり、少し肩を揉んだりします。
「〇〇さん、最近お体のご調子はどうですか?」と声をかけながら、肩に触れることでリラックスしてもらい、会話を引き出すようにしています。
とくに認知症のご利用者さんには、ボディタッチで接します。
思うように会話が続かない、認知症の男性Fさん。
座席のなかで孤立しがちで、そんな時にそばに行き「Fさんお茶飲まれましたか?」などと声掛けしながら、肩や背中に触れるようにしています。
会話はそんなに続かなくても体に触れることによって、Fさんにリラックスしてもらったり、親近感や安心感を感じとってもらいたい。こちらのそういう想いをボディタッチで届けるのです。
触れ合って間もなく相手の表情が和らいでいくと、こちらも嬉しくなるものです。
僕の経験上ですが、ボディタッチのおかげで、
ほとんどのご利用者さんと仲が良くなっていったといっても過言ではないです。
また、『握手』もとても良い、ボディタッチの一つです。
握手って少し照れくさいもので男性利用者さんとはしづらいことが多いのですが、嫌がらない利用者さんとは朝の挨拶がてらに握手を交わしています。
握手する時は、お互い少し力をこめるものですが、その力具合も相手への信頼や好意を伝え合うものだと僕は感じています。
僕は朝の入浴担当の場合が多いのですが、お風呂で椅子に座って頂き、足湯に足を浸けてもらったら、「おはようございます」「今日もよろしくお願いします」と、握手を交わす利用者さんが数名おられます。
不思議なものでいつも握手を交わす方とは、握手をしないとお互いに挨拶が終わっていないような、物足りない感覚になるほどです。
そして、握手を重ねていくほど、その方との「信頼関係が深まっていく」
そういう感覚があります。
握手もやはりボディタッチと同様に、
体が触れ合うことで、お互いの心が通じ合えるチカラがある
と思うのです。
そんなボディタッチを、すべての介護士さんに
積極的に積み上げていくことを僕はおすすめします。
ただしですが、
「ある程度の信頼関係が構築されつつある方に」
「なれなれし過ぎない程度に」
そんな点には注意しながら、行っていきましょう。
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