紹介会社の存在を知る②【求職者の人材紹介】

前回記事の➊『利用者紹介会社の実態』に続き、

今回は、著者TSUBOなりに調べた、介護業界の

❷『人材(求職者)紹介会社』の実態について
を伝えていきます。
「初めて介護職に就いてみようという方」
「転職先を探されている介護職員」達に、
ご参考になれば幸いです。
介護業界に限らず、わが国の人材紹介事業者は年々増加しており、2023年で約3万件となっています。人材紹介事業のビジネスモデルは、求人企業のニーズに合った求職者を紹介し、採用が決定した際に求人企業から手数料を受け取る「成功報酬型」です。
求職者は無料で登録や相談ができ、自分に合った就職先を紹介してもらえるということです。
それでは、介護職の人材紹介の実情をみていきましょう
介護職の有料人材紹介利用の就職件数は、
2015年:約12000件⇒2020年:約57000件と、
右肩上がりに伸び続けています
2023年の調査(全国老人福祉施設協議会)では、
人材紹介会社を利用して職員を採用した施設41.3%
40%以上と、かなり多くの施設が利用していることが分かります。
これは、人手不足でひっ迫する施設が増えている実態をしめしているでしょう
一人当たりの平均紹介手数料は、
介護福祉士資格を持つ常勤職員:89万円
介護福祉士資格を持たない常勤職員:67万円
となっています。紹介手数料もここ数年で、右肩上がりに高くなってきております
手数料の相場は、年収の30%前後(300万の年収なら90万の手数料)と言われています。
最近までこんな実態を知らずにいたTSUBOからしたら、
「なんだ、このバカ高い紹介料は!」と呆れるばかりです。
一方で、
人材紹介会社で採用した介護職員で
半年以内に退職したケースは57.4%、と非常に高い
そんな気になる実態も明らかになっています
次に、求職者側のメリットとデメリットを挙げてみます。
【メリット】
★探す手間が省ける(とくに初心者のように分からない人が助かる)
★代理で、会社と調整・交渉してくれる
★助言がもらえる
★面接に同行してくれることもある
【デメリット】
★就職先が限定される(紹介会社のつながりがある施設に限定される)
★採用のハードルが上がる(施設側は手数料リスクがあるため)
★法人と距離ができる(間に人が入ることで、すれ違い・誤解が生じるケースも)
★退職しにくい(簡単に辞めさせてくれない)
・・・施設は、辞めるならすぐに辞めて欲しいです。短期間での退職時は手数料返金の契約があるためで、半年間で返金期間は終了する。辞めないならば長く働いて欲しいのです。
★会社の期待が大きくなり、ハードルが高くなる
・・・他職員が紹介料の事実を知った場合に「何でこの人に」等の悪意を持たれる恐れも。
さらに、
【紹介会社の不安点】も挙げていきます。
★実は、紹介先施設のことをあまり深く知っていない
紹介会社を信用して入社してみたが「思ってたのと違う」とすぐに気づくことも。
★親身になって考えてくれる所は少ない(紹介料を高くとれる施設を優先するため
紹介会社は近年急増して、企業間の競争が激化している。
それに伴い「とにかく紹介件数を増やしたい」営利優先になっていることにより
「サービスは低下」してきたと考えてよいでしょう。
次に、
【紹介先の施設への不安】も挙げていきます。
人手不足でひっ迫している施設である可能性が高い
・・・高い紹介料を払ってでも何とか職員をいれたい、困っている施設でしょう。
そういう施設こそ「職員が離職しがちな定着率が低い施設」かもしれない
ということは、「ブラック施設」の可能性が高い
逆に、紹介会社を利用していない施設こそが「人手に困ってはいない」「職員の定着率が高い」「働きやすい職場」そんな優良な施設である可能性が高いのではないでしょうか。
さて、ここまで介護における紹介会社の実情を挙げてきておりますが、そろそろお感じになってきたのではないでしょうか?
介護施設への求職者が、紹介会社を利用するメリットも幾らかはございますが、
それ以上にデメリットがついてまわることを。
これらをまとめた、TSUBOの結論を述べさせてもらいます。
メリットにすがり、紹介会社を利用した就職。
実は、
★「しっかりとしたマッチングがされている可能性は低い」
★「就職先に紹介料を払わせる代償に、自らの重荷を背負うことになる」
とくに、自分が経験不足で不安な立場である場合、
「余計な重荷を感じて、仕事に向き合っていけるのか?」
TSUBOの意見は『無理でしょ』です。
そんなリスクを負うものです。
そして、紹介業者を利用することがそんな程度のものならば、
利用しない方がよい、と著者は断言します
そもそもですが、
施設が払う紹介料の元手は『公的な税金や保険料』であり
それらが自分のために過剰に流れ出ていることを知ったら、きっとあなたは大きな憤りを感じてしまうことになるかもしれないのです。
紹介会社を利用しないで就職したTSUBOは、
『重荷を全く背負わずに、初心者なりにノビノビと勤めてこれた』
という実感があるのです。
もしも、僕が今の職場を辞めることになったとしても、別の施設を探す場合は
「紹介会社は絶対に利用しない」きっと自力で探します。

ここからはTSUBOなりの、紹介会社を利用しない方法での
「求職者さんへ、就職先探しのアドバイス」
をお伝えします。
『とくに、初めて介護転職される方へ』
右も左も分からないことでしょう。僕もそうでした。
できることならば、施設に詳しいアドバイスしてくれる人が身近に居たら最高ですが、居ない場合にはどう探していけばよいのか悩みますよね。
それでも紹介業者を頼らずに、自分自身で職場先を探すことを僕はおすすめします
そこで、TSUBOがおすすめしたい方法を、幾つか挙げさせてもらいます。
ハローワークを活用して就職前に、初任者研修を受講する(無料制度あり)
・・研修期間中に、講師や他生徒から、地域の介護施設の情報収集を積極的に行いましょう
そこには貴重な、生の情報があるはずです。
地域の広報誌等から「介護教室」や「認知症相談」などの支援活動を積極的に行っている、介護施設を探してみましょう。
・・・そのような介護施設は「地域貢献」を目指す、企業理念がしっかりとした優良な施設である可能性が高いです。
➌SNSを活用している施設を探してみましょう。動画やブログを観覧して、雰囲気が良さそうな所をピックアップしてみましょう。
SNSを積極的に活用している施設は、業務にひっ迫していない余裕のある運営が出来ている、優良な施設である可能性が高いです。
このような方法で、優良そうな介護施設を自力で探してみましょう。
そして次に行うのは、
★情報を元に、希望先を数社リストアップする
★ハローワークに依頼して、施設に求職希望を伝えてもらい、面接につなげる
★面接で相手が承諾してくれるなら、職場見学や体験をさせてもらう
(見学・体験時に極力、職員や利用者の雰囲気を感じとってください)
★1社だけでなく、リストアップ先全てにアプローチする
★アプローチした施設の中から希望先を絞り込み、自ら施設に求職を願い出る
このような就職活動を、自力で頑張ってみましょう。
時間も手間も、かかるでしょう。
でも、時間・手間を惜しんで紹介会社を利用し失敗するよりも、自分の行動・意思によって施設を選ぶ。そのやり方のほうが、遠回りのようでも良い就職先に出会えるチャンスが高いのではないかと、TSUBOは思うし推奨したいのです。
よろしければ、ご参考にしてみてください。
それでも、就職先が「自分とかけ離れた感覚」の施設であることもあるかもしれません。
なので、TSUBOが伝えたいことは、
『この一時点での、行動・判断が正しいか正しくないか』
そんな一時的な刹那にためらわずに、
「挑戦する気持ちを優先して欲しい」
ことです。

最後に、
最近になってようやく明らかになってきた、
一部の紹介事業者の悪質な実態に対する、業界や国の動きをまとめてみます。
まずは、今年度9月「全国介護事業連盟」から、国への要望が発信されています。
その内容の一部
募集情報等提供事業者(紹介事業者)には、従来法的なルールや指針が示されておらず、料金体系や違約金等の考え方においても各社ごとに大きく異なる状況にあります。情報提供者とサービス利用事業者との間に、様々なトラブルが生じていることが当団体に報告が上がってきています。このような状況を幅広く情報収集いただき、募集情報等提供者に対する運営方針・ガイドラインを策定いただくことを要望いたします。
対する、厚労省の動き
まずは今年度6月の厚労省の発表内容
不適切な人材紹介に対する紹介手数料の負担の問題などについて、報酬体系の見直しや、規制強化、公的な職業紹介(ハローワーク)の機能強化のさらなる検討を含め、実効性ある対策を講ずる。
そして、10月30日に厚生省が発表した、改正の概要
★募集情報等提供者による金銭等提供の禁止(※就職者へのお祝い金の禁止)
※紹介会社では、採用後に就職者への「お祝い金」を供与する会社もある。
労働者になろうとする者に対して金銭等を提供することにより、情報提供事業の利用の推奨を行うことは好ましくなく、お祝い金およびこれに類する名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供することによって、利用の推奨を行ってはならないこととする。
という内容です。
★職業紹介事業の利用料金・違約金明示
職業紹介事業の利用に関連して生じる違約金や、求人者(施設側)が負担する金銭等について、当該求人者に分かりやすく明瞭に記載した書面を明示することとする。
厚労省は、
人材会社の紹介料の実績の公開化(どのようなパーセンテージにしているのか、返金ルール等)をルール化しようと動き始めるようです。
そして、
「介護の報酬は、税金や公的な保険料で成り立っている」のに、このような『公金の流出』が起きていることを問題視して、
『優良な紹介会社の構築を目指していこう』と目指しているようです。
TSUBOの受け止め方としましては、
介護の紹介事業は10年以上も前からすすんでいたものであるのに、最近ようやく問題が明るみになるまで、見過ごしされてきた実態はどうなっているのか?
そして、問題が発覚してからの国の対応も、
何か、薄っぺらい気がする。
とても信じてよいとは、到底思えないもの、
著者は、そう感じとっております。

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