高額医療費制度について、石破首相は8月からの負担上限額の引き上げを見送ることを表明しました。
衆議院予算を通過したばかりでの方針転換は、異例中の異例。
苦労して衆議院を通過した新年度予算案を、もう一度修正する方向で調整していくわけです。
驚くべきことです。
石破首相は3月7日夜、がんや難病の患者団体と面会し
「いったん立ち止まって、命のために再検討をお願いしたい」と求められ、
秋までに改めて制度のあり方を検討し、方針を決めることを表明。
「患者に不安を与えたまま、見直しを実施することは望ましいことではない。丁寧なプロセスを積み重ねることで持続可能なものとし、次の世代に引き継がれるように努力したい」
と述べました。
負担上限額の引き上げについては、患者団体や野党からの反対の声に加え、与党からも慎重論が出るなか、見直しを余儀なくされた形です。
高額医療費制度は、医療費の自己負担額に上限を設け、超えた分を税金や保険料から支払われる仕組みです。
高齢化や高額な薬の普及などにより、この制度に使われる国費は、年々増加。
それに伴い、現役世代の保険料の負担も増えていることから、政府は自己負担額の上限を引き上げ、現役世代の保険料の負担を減らそうとしていたのです。
難しい問題ではあります。
高齢化が進むにつれて、現役世代の負担が増していくばかり…
現役世代の負担増。我が国の深刻な難題です。
当然、現役世代の負担増を防いでいくように、対応を検討していくべきでしょう。
でもだからと言って、高額医療費の患者負担を引き上げることは正解なのか?
僕個人の感覚では「迷うことなくNO」です
クソ高い医療費10万円レベルを余裕で出せる患者なんて、国民の2~3割、富裕層だけじゃないでしょうか?
実は僕の85歳母も去年、肺の手術・入院で高額医療制度の適用を受けました。
しかしもしもその額がもっと引き上げられていたらと思うと、まじでゾッとさせられますよ。なんとかやっと上限額を支払ったのが我が家の実情でしたから。
国の負担上限額引き上げが、もし実施されたならば、
「手術をあきらめよう」「命をあきらめよう」
という方々が、きっと増えていくのではないでしょうか?
またさらに高額医療費の影響で、貧困化していく人も確実に増えていくことでしょう。
今、生活に苦しんでいる層は6割にも達しています。こんなひどい状況なのに、政府は手を差し伸べるどころか、さらに金を吸い上げようという魂胆が垣間見えます。
所詮、自民党議員さんのような高給どりの方々には、僕たち低所得者の苦しみは、全く認識できていないということが、ようく分かります。
しかし石破首相は、よくぞこの見直しを決断してくれたという驚きもあります。
衆議院で予算通過し、過半数確保している参議院は安泰だったという状況での修正。
ちょっとビックリですね。
囁かれているのは「夏の参議院選挙」が控えていることへの思惑。
これ以上、国民の人気を落とさないため…
石破首相の真意は分かりませんが、
今回のような
「拙速」かつ「国民の声を無視」
そんな政策を強引にすすめようとする現政府の危うさ。
この件について、患者団体が述べている見解を引用します。
「今回の政府案は唐突に出てきた。
保険料を支払う人達の意見を、広く議論していくことが求められる。
患者の声が一定程度届いたと言えるが、今後の検討プロセスに言及がない。
短期間の不十分な審議で同様の引き上げ策が出てくることを懸念する」
ついでに、自民党・小林鷹之氏(元経済安全保障相、前回の総裁選に出馬)が9日、記者団に語った言葉ものせておきます。
「(首相の判断について)政策の意思決定が二転三転している」
「原点に立ち戻り、ていねいな党内プロセスや国民への説明が必要だ」
また小林氏は,
首相が「楽しい日本」をキャッチフレーズに掲げていることを踏まえ、
「(首相の挨拶からは)楽しい日本をつくるための具体的な道筋というものを、私は感じられない」
と指摘。
いかがでしょう? 今の政権与党の体たらくぶりは。
党内からも批判を浴びている、石破首相…
同じ中国地方出身だけに頑張って欲しい思いも、僕には少しあります。
「多くの国民がこんなに苦しんでいる今、国民を救うために尽力してほしい」
そう願っていますよ。
だけど… 残念ながら、現在の首相陣営には
「いったい誰のために、政治を行っているの?」
そんな不信感しか湧いてこないのです。
「安心して政治をあずけられる」それが僕たちが望む政権です。
今、我が国はまったくそこからかけ離れている。
そんなことをTSUBOは強く感じております。
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